病院清掃の感染対策
院内感染を防ぎ、清潔で快適な環境を実現するために
単にキレイな清掃をするから、科学的根拠に基づく清掃へ
医療施設は、「健康者」「非健康者」「入院患者」の3者にとって快適で
気持ちよく過ごしやすい空間である必要があります。
汚染防止の基本
清掃作業に起因して汚染を発生させる、または拡散させることは防がねばなりません。
- 汚染を
持ち込まないゾーニングと
周辺環境の清浄化 - 汚染を
起こさない作業マニュアル
の確立 - 汚染を
広げない動線の確保
病院清掃業者が行う感染対策 その①
色別管理で明解な感染防止対策
トイレの用具が、食堂で使用されるのを防ぐためにはどうすれば良いでしょうか。
同じ形、同じ色の清掃用具では、それがどこで使用されているかの判断が難しいと思います。そのため、全ての清掃用具を色分けし、その違いを明解にし、間違いを防ぐ方法をカラーゾーニング、カラーリングと言います。
カラーゾーニングは、清浄度レベルに応じて区域分けし、各ゾーンを色で識別すること。そして、カラーリングは、カラーゾーニングを清掃道具に反映させて色分けすることを言います。
こうして、清掃用具を色分けすることで、清掃道具や人間の手を経由した感染を防ぐことができ、他のゾーンへの汚染の拡散と伝播を防止します。また、どなたがご覧になったとしても、その違いを明解することができ、安心感をお与えすることができると考えます。
更に、清掃道具の柄の部分は、軽量のアルミ製やグラスファイバー製でできているため、埃や湿気による腐食、品質劣化もなく、細菌等の増殖を防ぐことができます。
こうした一連の対策により、エリアごとに重点的な衛生管理が可能となります。
カラーゾーニング(色別管理)
清浄度レベルに応じて、下表のように区域分けを行います。そのレベルに応じた清掃用具を用いて、マニュアルに沿った作業を実施します。
清浄度クラス | 清浄度ゾーン | 色標 | 場所(清浄度ゾーン) |
---|---|---|---|
A.医療ゾーン | 高度清潔区域 | 緑 | バイオクリーン手術室・バイオクリーン病室 |
清潔区域 | 一般手術室・手術用杯盤室・清潔廊下・材料部門の既滅菌室・無菌製剤室・開創照射室・手洗コーナー | ||
準清潔区域 | 白 | 手術部周辺区域(回復室など)NICU・ICU・CCU・未熟児室・特殊検査・治療室・分娩室・調乳室 | |
一般清潔区域 | 青 | 一般病室・ディルーム・診察室・待合室・玄関ホール・材料部・検査室の一般区域諸室・X線撮影室・内視鏡室・人工透析室・通常新生児室・物理治療室・調剤室 | |
汚染管理区域 | 赤 | R1管理区域諸室・細菌検査室・感染症病室・検査室・解剖室・霊安室 | |
汚染拡散防止区域 | 黄 | 患者用便所・使用済みリネン室・汚物処理室 | |
B.一般ゾーン | 一般区域 | 青 | 事務室・医局・会議室・講堂・食堂 |
汚染拡散防止区域 | 黄 | 一般用便所・一般用ゴミ処理室 |
カラーリング
清掃道具をカラーゾーニングに応じた色分けをすることで、道具の種類、用途を明確にすることができます。清掃における間違いを防ぐことができ、安心した清掃作業が実現します。
- 5色に分類した「フラットモップ」
- 5色に分類した「ワンタッチモップ」
- 5色に分類した「モップハンドル」
ゾーニング別によるカラーリングが可能
耐薬剤性、腐食や細菌の発生増殖に耐性のある素材を使用
作業の標準化、省力化、定量化が可能
強毒性の病原菌の予防 弱毒性の細菌による感染を未然に防止 他のゾーンへの汚染の拡散と伝播防止 |
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清掃におけるミスの防止 徹底した衛生管理 |
病院清掃業者が行う感染対策 その②
フラットモップの使用
清掃道具に使うモップは、ヘッドが取り外せる「フラットモップ」を使用しています。「フラットモップ」は、モップだけを取り外すことができ、清潔なものを常に使用します。また、自在ボウキのようにホコリを立てることもなく、静かに素早く作業ができます。
「フラットモップ」は、一方方向にのみ動かすことでゴミやホコリを効率的に集めることができ、微生物制御を行うことができます。
一方向拭きの方法
ホコリや汚れはモップの進行方向の先端に付着し、後方のきれいな部分で湿式清掃を行います。結果、有機物と汚れが同時に除去され、微生物制御を行うことが出来ます。
一方向拭きの一例
良い例(奥から手前へ)悪い例(手前から奥へ)
片側のエッジに汚れが集中。一方向へ拭いた証拠です。
作業効率の向上 有機物と汚れが同時に除去 |
病院清掃業者が行う感染対策 その③
オフロケーションシステムの採用
オフロケーションシステムとは、清掃で使用するモップやタオルが汚れたら、清潔な新しいものに交換して汚染の拡散を防ぐ清掃方法です。モップやタオルを洗いながら、同じものを使って作業するということはありません。
汚れたタオルでガラスを拭いても綺麗にならないように、モップやタオルの汚れをなすりつけることを防ぐことができます。
清潔な新しいモップやタオルを使用することで、細菌等を発生場所以外に拡散させてしまう交差汚染の防止にもなります。
このように、弊社では清潔と感染防止の両面からオフロケーションシステムを採用しています。
スペアモップの活用
モップヘッドの集中処理
従来のモップとの比較
従来 | オフロケーションモップシステム | |
---|---|---|
モップのヘッド・種類 | 糸モップのついている「ケンタッキーモップ」 | ヘッドが取り外せる「フラット・モップ」 |
清掃方法 | 同じモップでいくつもの場所を清掃 | ゾーンごとにヘッドを取替え |
洗浄方法 | バケツで、何回も汚れた洗剤で濯ぎ洗浄 | 汚れたら、スペアモップヘッドに取替えヘッド洗浄は、一度に集中処理。 |
デメリット | 清拭しながら、汚れをなすりつける | 一方向拭きにより有機物と汚れが同時に除去 |